【改善できない第2の理由】・・・言いづらい原因が「言いづらい音」自体にだけあると考えている
たいていの吃音症状の人は、特定の「言いづらい音」があります。会話時にはいつも
「言いづらい音」に過剰とも言えるほどにアンテナを張り、意識を向けています。
出来ることなら「言いづらい音」から始まる単語は使いたくないと考え、同じ意味を
持つ他の単語に言い換える技術を身に付けることになります。
しかし、名前などの固有名詞の場合には本当に困ってしまいます。
もしも「言いづらい音」をどうしても言わなければならない状況になったときには、
少し小声で、しかもいいかげんな発音で早く言って、誤魔化してしまおうとするのです。
咽喉や唇や舌などの発声器官にも過剰な力がはいり、声が高くなり、語気も弱くなって
しまいます。
吃音症状のある人は、「言いにくい音」を言いやすくするにはどうすればいいのかと、
常に考え工夫していますが、なかなか良い方法を見出すことが出来ないでいます。
その理由はとても簡単です。
吃音症状があるすべての人が言いづらい原因が、「言いづらい音」そのものだけにある
と考えているからです。しかし、言いづらい原因は「言いづらい音」の中だけにあるのでは
なく、別の処にもあるのです。
「言いづらい音」「苦手な音」に対して、どれだけ発音練習をしても「言い易い音」に
変えることは不可能なのです。
外にもあるにもかかわらず、中だけを探しているのですから見つかるわけがありません。
発想の転換をしなければ、吃音を改善することは出来ないのです。
「言いにくい音」を意識することで意識が、発声器官の音を作る部分、つまり咽喉周辺に
いってしまい、同時に過剰な力が入ってしまうことにより、自由に音が作りだせないのです。
本当に力を入れなければいけない部分は発声器官の音を出す原動力となる腹筋ということに
なります。腹筋操作で腹圧を掛けて声を出すのです。また、腹筋に力を入れることで、
腹部に意識が行くので咽喉にある意識が開放されます。すなわち、言葉が自由になるのです。
当吃音治療院では、力強い声が自由自在に出せるようになる、単音腹圧発声法の
トレーニングおよび、リズミカルで流暢な話し方が出来る文節リズム発語法のトレーニング
で吃音を改善します。
どちらも、腹圧の操作法のトレーニングです。声を出すことを意識的に腹圧操作を使って
出来ることが、すなわち、吃音を改善することなのです。